インクジェットの研究開発に長年携わっている中で、これはやめた方がいいという研究例を紹介します。

やってはいけない!こんな技術開発パート2

例6:開発にかかる時間や開発費に対して、得られる付加価値が低すぎる

インクジェット技術の応用分野は、非常に広いため、自分の担当している仕事にもインクジェット技術を応用できる可能性は高くなります。現状の技術よりも生産性が20%はアップするとか、歩留まりが20%向上しそうであるとか、そういった数字が見えてくると、ならばインクジェト技術に置き換えようという開発動機が高まります。しかしながらインクジェット開発にかかる時間や開発費 を想定した場合、3年間の開発期間をかけて20%の生産性を改善できたとしても、本当にインクジェト技術で置き換えた方が良いかどうかは疑問が残ります。なぜならば、既存技術の改良でも毎年7%の改善が可能であれば、3年後にはより確実に20%の改善効果を期待できるからです。現状の技術に対して、インクジェット技術に置き換えた場合の付加価値部分と、それに要する時間や開発費を十分事前に精査しないと、せっかく開発に成功したにもかかわらず、その時点では従来技術に対する優位性が認められず、置き換えリスクを考えれば、これまで通りの技術でいく、などといった結果になってしまいます。このため最初のスタート時が大切になります。

マイクロジェットではこのようなことが起こらないように、開発の難易度やかかる開発費、期間等を事前にコンサルティングするサービスも行っています。

例5:インクジェット開発プロジェクトを大々的に立ち上げる

インクジェットのもの作りへの応用は、会社によっては今後の会社の将来を左右するため、大きなプロジェクトになる場合があります。しかしながら、インクジェットのプロジェクトは大きな成果が期待できるものであればあるほど、難易度は一般に高くなります。 そのため、多額の開発資金や多くの時間を必用とします。このようなプロジェクトを大々的に立ち上げると、社内での注目度は高まりますが、その一方で、短期的な成果まで求められるようになります。インクジェット開発は規模が大きければ大きいほど、数年単位の時間がかかりますので、成果を早い段階で期待されても、通常はなかなか、期待するほどのものが出てこないため、プレッシャーだけがかかり、現場レベルでは混乱が助長されます。

完成という最後のゴールだけを見た成果ではなく、完成までの各プロセスごとに、その目標到達点を明確化し、その目標に対する結果を評価するということが必用になります。上層部になればなるほど、短期的な成果を求めがちですが、そのようなTOPの元では、インクジェット開発は成功する確率が低くなるといえます。

例4:インクジェットの開発テーマを他のテーマと掛け持ちでやらせる

インクジェットの研究は、まず小規模な調査や研究から始める場合がほとんどです。この場合、100%その仕事だけを行わせるのでなく、別のテーマと掛け持ちで行わせる場合が多く見受けられます。 しかしながら、インクジェット研究はノウハウを習得するのに非常に時間がかかるため、なかなか成果が思うようにでません。掛け持ちでやっている場合には、昨今の成果重視の人事評価システム上、担当者はどうしても短期的に、成果の出やすい仕事を優先するようになりますので、インクジェットは後回しになります。またなかなか上手く実験が進まないこともあり、インクジェット技術そのものを否定するような結果を早い段階で出してしまい、その業務から遠ざかろうとしてしまいます。
このような状況を避けるためには、インクジェットは専業でやらせることが必要です。

そしていきなり大きな目標を与えるのではなく、自社の初期の目標レベルに合った目標を都度与え、小さいながらも成果を出させ、達成感を実感してもらいながら、次第に大きな目標にチャレンジするような進め方が、好ましいと言えます。せっかく装置を導入しても埃をかぶっているような場合は、もう一度開発体制を見直す必用があるといえます。

やってはいけない!こんな技術開発パート1

例3:市販のPC用インクジェットプリンターを改造して実験に使う

やってはいけないこんな研究開発インクジェットの実験においては、市販のインクジェットプリンターを購入し、これに手を加えて研究開発実験ツールとして利用しているケースが多く見受けられます。しかしPC用プリンターは水系の粘度が低いインク用に開発されたヘッドを用いているため、一般の工業用のアプリケーションには不向きといえます。

やってはいけないこんな研究開発

  • インクジェットヘッドは液に合わせてヘッドの駆動条件が最適化されているが、プリンターではこの条件が変更できない
  • カラーインクは粘度が3mPa・s程度と低めであり、高粘度の液は吐出ができない
  • 水系のインクで壊れない範囲で接着剤等が選定されているので、アタック性の強い液では劣化がすぐに始まる

よって吐出を試みたい液を無理やりインクカートリッジに充填して吐出させても、液らしきものは吹き出るが、安定した描画はできません。プリンターで実験用の液を上手く吐出させようとしても、やってはいけない、こんな研究開発 液の吐出うまく吐出できる確率はかなり低いのです。改造の初期の段階で、わずかに液が出た状態を見て、その可能性を追求すべく、市販プリンターの改造に更に多くの時間を費やすケースが見られますが、これらは時間の大きなロスといえます。装置そのものの開発が目的であれば、それらの試行錯誤も意味があるかもしれません。しかし多くの場合、装置そのものの開発が目的ではなく、それらを使ってのプロセス開発や材料開発が本来の目的のはずです。

そこでMICROJETでは多くのお客様のご要望に応え、かつ、自らのこれまでの経験に基づいたノウハウを注入し、様々な液を吐出できる可能性を持った、工業用途に応用可能な高耐液のヘッドをご提案しております。更に、様々な液の吐出に必要なパラメータを変更しながら評価が可能な実験用評価装置を研究開発のステージや用途などに応じ、各種ご用意させていただいております。まず検討中の液にもっともマッチするヘッドはどれかを決めることが、研究を成功に導くために不可欠な第一歩です。マイクロジェットの製品は各種ヘッドを搭載可能としていますので、貴社の吐出液に合わせた選択が可能です。

例2:1滴からなる球状の液滴を吐出できるよう液滴スピードを遅めにして実験する

インクジェットヘッドから吐出される液滴は本来写真のように液柱状になります。市販のカラープリンタではほとんどこのような液の出方をしています。やってはいけない、こんな研究開発 液の吐出しかしこのような液滴は空間で複数の液に分離するため工業用途で非吸収面の基板に着弾させた場合、着滴形状がばらついたり、ムラになったりするため、1滴の球状の液滴を作ろうとします。これを作ることはさほど難しくなく、インクジェットヘッドの駆動電圧を低めに設定すれば、実現します。しかしこの状態では液滴のスピードが3m/s以下となるケースが多く別の問題を引き起こします。実験室レベルでのサンプル作製はこれでもいいかもしれませんが、やがてこれは間違いであることに気づく時が来ます。

MICROJETでは液滴スピードを落とさずに1滴の球状液滴を形成できる技術やノウハウをもっています。単純に電圧を下げて1滴からなる球状液滴を形成することはやめた方がよいでしょう。

例1:ピエゾヘッドなら大差ないと考え、とりあえずヘッドや装置を入手し実験を始める

インクジェットヘッドと言えばサーマル式(バブルジェット式)やピエゾ式があることは誰でも知っています。工業用途には様々な液を吐出できることと、寿命が長いことで、ほとんどの場合ピエゾ式が検討されます。
ピエゾ式インクジェットヘッドは、どこのメーカーのヘッドでも大きな差はないと考えていませんか?そのような考えで、まずなにがしかのヘッドを入手し、研究を始めるケースが多くみられます。しかし同じピエゾインクジェットヘッドとはいえ、その性能や特徴はかなり異なっています。自社の目的とする用途に最も適合したヘッドを選ばなかったばかりに、無駄な研究を何年もしてしまったという例を見かけます。しかしそうは言っても全てのヘッドを事前評価するには時間も予算もない。

しかし、ご安心下さいMICROJETは世界中のほとんどのヘッドを評価した実績がありますので、ヘッドの長所も短所も把握しています。お客様の研究目的や用途を聞いた上で最適なインクジェットヘッドをご提案します。

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